第124章

 島宮奈々未は夏目太郎を連れて木下家へ戻った。道中、夏目太郎はずっと押し黙り、浮かない顔で窓の外を見つめていた。

 家に着いても、夏目太郎は誰とも口を利かず、そのまま自分の部屋へ直行した。

 島宮奈々未は心配でたまらず、あの手この手で機嫌を取ろうとしたが、夏目太郎が笑うことはなかった。

「太郎、ごめんなさい。お姉ちゃん、遅くなっちゃって」島宮奈々未は歩み寄り、夏目太郎を自分の膝の上に抱き上げ、その小さな頬にキスをした。「これからは私がお姉ちゃんとしているから、もう誰にもいじめさせたりしないわ」

 夏目太郎はうつむいたまま、小さな両手をモジモジと揉み合わせている。今にも泣き出しそうで、...

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